MASA@白血病→記憶障害

61歳で白血病になった。

自分なりの頑張り、生命への執着

 退院の日を控えて、担当医師やカウンセラーの方々からの貴重なアドバイスを受けています。自分の病気治療の一環として、退院後には、脳機能と運動機能回復のため、リハビリ施設に通うようにとの案内をいただきました。

 それを聞いた自分の気持ちは複雑なものでした。病院での治療を通して、それなりに体調の回復を実感できていましたから、以前のように普通の社会生活に戻ることが可能になっているように感じていました。退院後にさらなる医療施設に通わなくてはいけないのか、自分の病は完治していないのか、はたまた、自分の日々が後ろ向きでつまらないものと思えてきました。

 リハビリ施設と聞きますと、ご年配の方々や痴呆症の老人が通う場所とのイメージがありました。六十歳の自分などがお世話になるようなところではないとの思いです。

 しかし、それは大きな間違いでした。リンパ性白血病と診断され、急遽、治療入院となりました。臍帯血移植が施術され、その際に脳炎を患い、その後遺症で高次機能障害になってしまった、との経緯を後になって伝えられました。ですから、脳と身体の機能回復のためのリハビリが、当然、必要とされました。自分の罹った病気は軽度なもので、的確な治療さえ受ければ、すぐに治るものと簡単に考えていました。自分の迂闊さを反省しないではいられません。脳の病気は、素人患者の想像が及ばないほど複雑なもので、その治療には脳機能回復のためにたいへん困難な内容を含んでいたのでした。

 リハビリ施設のひとつに週2回通うことになりました。そこでは、ほとんどの方の年齢は七十歳以上の方々ばかりで、この自分は場違いのところに来てしまったようにも思いました。

 いずれにしましても、身体と脳機能の回復のため、専門的なリハビリ治療を受けることになりました。身体と頭脳の体操は、機能回復過程にて、さらなる改善のために必要な訓練となりました。リンパ性白血病を患い、生死の境を体験した者にとりまして、まだまだ生きていたい、この歳で死んでたまるか、と生命への強い執着心が表れた時期でした。